2022年活動報告  

4月22日:政府交渉
場所:防衛省・環境省(東京)


22年4月22日防衛省、環境省交渉を持ちました。


防衛省交渉での主な議題は
1.沖縄県の設計変更不承認処分をふまえて、すべての工事を中止すること。
2.昨年4月英国科学雑誌に投稿した環境監視等委員3人の任命責任についてでした。
(今回のジュゴン絶滅論文の焼き直し批判についてはここを参照してください)

昨年5月交渉ではジュゴンの専門家・荒井委員の役割について追及しました。


昨年11月交渉では絶滅論文を執筆した環境監視等委員3人の解任を要求しました


防衛省は、ジュゴン絶滅論文は「個人の論文だから環境監視等委員会とは関係はない」と逃げてきましたが、
UCN(国際自然保護連合)専門家グループ(共同議長、Dr.ヘレン・マーシュ)から
「信頼に値しない論文」と厳しい批判が出されています(「沖縄県への手紙」21年5月10日付け)。
そして、SDCCが英国科学雑誌に批判的意見を投稿したことなどで、
昨年7月に雑誌編集サイドから執筆者に「大幅な訂正」が求められてきました。

しかし、大幅な訂正ではなく、今年4月12日、焼き直しの論文が投稿されました
論文の標題も前回の標題「沖縄島付近で孤立したジュゴンの絶滅」に
「〜への軌跡(trajectory to)」の文言を付け加えたもので、
論文の中では「絶滅(extinction)」がちりばめられています。
しかも、この執筆者は「海外からジュゴンを移入すればよい」とまで主張しているのです。

防衛省を追及すると「焼き直し論文」の存在は知っていましたが、
内容の吟味はしていませんでした。私たちの追及には「個人の論文」と逃げの一手です。

沖縄防衛局の環境監視等委員会の役割について追及すると答えられず、
私たちが「承認書の留意事項」の文書を提示すると、
「環境監視等委員会は…ジュゴンなどの保護対策の実施」(承認書の留意事項2)であることを確認しました。

また、防衛省は「沖縄ジュゴンが絶滅した」との立場に立っていないことも確認しました。

そこで、国際的な批判がある論文を執筆した環境監視等委員3人を「なぜ重用しているのか」、
「その理由を説明する責任がある」と追及しましたが、沈黙したままでした。

この3人を重用する沖縄防衛局だからこそ、
環境監視等委員会が「埋立土砂の運搬船が出す水中音がジュゴンに与える影響」を環境影響の要因にしていないのです。
辺野古大浦湾に近接している嘉陽沿岸に生息していたジュゴンAが行方不明になったのは、
本部港から埋め立て土砂が搬出を始めた時期と合致しているのです。
19年11月交渉時から追及しているのですが、今回の設計変更申請でも無視したままです。


              (環境省を追及する伊波洋一議員)
環境省交渉では、「令和3年度のジュゴンの広域調査計画」のまとめが報告されました。
先島諸島で、ドローンを活用したジュゴンの食み跡の発見や、
地元の漁業組合などの協力でジュゴンを目撃するなど成果が上がっています。
この3年間の調査で、沖縄島を含めてジュゴンの食み跡などが数多く発見されています。
しかし、環境省は「その分析と評価」をふまえた「ジュゴンの保護策」の議論をこそ進めるべきと厳しく要請しました。
海草藻場の保全の為にも、今こそ海洋保護区を作るべき時なのです。

環境省は「沖縄ジュゴンの絶滅には同意しない」としたうえで、
「ジュゴンを海外から移入することにも同意しない」と明言しました。
そして、「種の絶滅を判断する手続き」については、次回までに回答することを約束しました。

次に、やんばるの森の世界自然遺産を「真の世界自然遺産」とするためにも、
JEGS(日米環境管理基準)をふまえて米軍基地内の絶滅危惧種の保全を進めるべきだと要求しました。
そして、「5年に一度作成される19年度自然資源管理計画が公開されていない」と批判しました。

伊波洋一議員からは「ノグチゲラ5羽が大宜味村まで出てきている」ことが紹介され、
参議院外交防衛委員会(16年10月20日)で自然資源管理計画について質問した際に、
岸田文雄外務大臣(当時)から「米側にしっかりとした働きかけ、続けるべき課題である」との答弁を引き出したこと。
だからこそ、米軍にJEGS(環境管理基準)を守らせるべきだと環境省を激励しました。

長文でしたが、最後までありがとうございました。
辺野古のすべての工事中止を求める署名にご協力をお願いします。

 ジュゴンの保護者より